現行パラダイムの限界と生物学的知能への回帰
Sakana AIは2026年9月18日に、社内で育ってきた研究集団Frontier Intelligence Groupを公表した。CTOのLlion Jones氏を中心に、現行のAIパラダイムが持つ根本的な限界を正面から捉え、次の大きな飛躍を探ることを目的としている。現在のTransformerベースのスケーリング路線は驚異的な成果を上げているが、ハルシネーションや未知の状況への対応力の欠如、膨大なエネルギー消費といった問いが残る。生物学的知能は少ないデータで頑健に汎化し、自己主導的な好奇心で探索できる。
FIGの研究哲学と5つの指針
FIGは「知能はまだ解かれていない」という前提から出発、代替パラダイムの積極的な探索を掲げる。研究の自由、つまりベンチマークの数字を追う圧力から解放され、長期的なアイデアに時間を割く環境が重視される。独自性も核となり、他者がやらない研究を奨励する。「偉大さは計画できない」という哲学のもと、探索を促進する文化を育てる。自然からの着想と、知能そのものの理解も柱だ。
5つの先端研究が示す多様なアプローチ
FIGの研究はすでに具体化している。生物学的ニューロンの構造を再導入したContinuous Thought Machines、脳の予測コーディングに基づく分散最適化手法、NVIDIAと協力したスパースTransformer、人間とAIの創造性を比較するAI Picbreeder実験、細胞の自己組織化に着想を得たSmart Cellular Bricksなど、幅広いテーマが進行中だ。アーキテクチャー、最適化手法、目的関数、個々のニューロンのダイナミクスからエージェント集団まで、粒度も多様である。Sakana AIは日本で人工ニューラルネットワークの基礎研究が行われてきた土地柄を活かし、次の大きなブレイクスルーを探す場を整えた。